NZ経済の特徴
NZ経済の歩み
経済動向



















2001/2003年の経済動向
2002年3月末締め年度のNZ経済は前年度から引き続き、安定した成長を維持している。これは、前述の通り、NZドル安と1次産品の国際市場が良好だったため輸出主導の経済成長がもたらされ、さらに、この輸出分野の好調さが投資や個人消費などの内需にも好影響を与えた結果である。2001年9月に発生した対米テロ事件により、折からの世界経済の原則とあいまって世界経済は不透明感を増した。しかし、NZ経済は一時的なコンフィデンスの低下や観光客の減少の影響が見られたが大きな影響を見ることなく順調に推移した。

2002年3月期の季節調整済み実質GDP`成長率は、対前期比でプラス1.1%となり、成長の要因としては、輸出量の増加および家計消費のさらなる増加が見られる。輸出額は前期、前々期の減少から3.7%の増加に転じ、国内需要も対前期比でプラス0.7%(対前年度比プラス3.5%)で減少した海外からの訪問者数が回復してきたことをおもな要因としてサービス輸出がプラス8.5%と大きな伸びを示したことが特筆できる。

国内需要については、家計消費が1.5%増加したほか企業の在庫レベルがさらに上昇したことが挙げられている。家計消費の増加は耐久消費財、非耐久消費財ともに、特に家具、家電、飲食物において顕著であった。一方で前期に移民の増加による住宅需要の増加により大きく上昇した新規住宅投資は対前期比9.6%の減少となった。ただこれは、前期の上昇に対する反動という側面があり、年間ではプラス3.0%となっている。また、企業の固定資産への投資は3.5%減少した。

年間の成長率を業種別で見てみると、運輸・通信分野の成長率が最も高く6.6%増の成長となり、次いで個人・地域サービスの6.2%、小売業、ホテル、レストランの4.1%となっている。これらは、家庭消費が好調に推移したことや海外からの旅行者の増加によるものである。また、対外貿易の増加を受けて卸売業が2.8%の上昇となったほか、建設分野も2.5%上昇した。一方で、電気・ガス・水道分野はマイナス成長となっている。これは、昨冬の降雨量不足に起因する電力危機が影響している。

今後の経済の見通しについては、米国テロ事件により減少した観光客数が回復基調にあることや海外からの移民数が昨年から急増に転じていることによる国内需要の増加などの明るい材料が見られる。また世界経済は全般的に回復してきており、日本を除く主要貿易相手国の経済成長に対する見通しも明るい。しかし、回復にはタイムラグが生じることからそれまではNZ経済のさらなる成長は見込まれておらず、1次産品価格の下落や原油価格の上昇、NZドルの急上昇による輸出産業へのマイナス影響が懸念されている。NZ準備銀行、NZ財務省、NZ経済研究所は、2002/2003年度3月締め年度の経済成長率を米国テロ事件発生後に下方修正したが、その後の経済の回復が早いことからそれぞれ2.75%、3.1%、2.4%と上方修正している。また、2003/2004年度は、それぞれ2.5%、2.7%、3.1%の経済成長を見込んでいる。